【乗車記】JR西日本の新快速の「Aシート」に今更乗ってみた(姫路→大阪)

2019年6月3日鉄道

JR西日本の関西地区(JR神戸線・JR京都線・琵琶湖線)において、今年3月のダイヤ改正時に鳴り物入りで導入された新快速の有料座席「Aシート」。

京阪神にちょくちょく足を運んでいる身として、以前からどんな感じなのか気になっていたということもあって、先月某日に実際に姫路駅まで向かい、そこから大阪駅までの区間で乗車してみることとした。

結論から申し上げると、それなりに需要はあるようで、乗り心地もなかなか良かった。 これから次第に「Aシート」のある車両を増やしていっても良いのではないか、とすら思えるくらいだ(少なくとも、京阪電車の有料座席「プレミアムカー」に対抗できるくらいには)。現時点で一日に計2往復しかないのが本当にもったいない。

 

乗車位置

姫路駅ホームに設置されている「Aシート」乗車口案内。

「Aシート」車両は上り下りともに9号車が該当している。上りだと前から4両目、下りだと後ろから4両目だ。

「Aシート」の乗車口は、上のような案内が足元にあるので、比較的分かりやすい。また、新快速で使用されている車両は3ドア車なのだが、「Aシート」車両の真ん中部分は改造により入れなくなっている。その停車位置には各駅に係員が立っているので、そこでもはっきりとするだろう。なお、その係員は「ここにはAシート車両が来る」ということを繰り返し案内していて、不案内な乗客に対して無料座席の位置を示すなどしていた。

 

乗車整理券の購入

まず大事なことだが、「Aシート」の乗車整理券は事前購入することができない。 有料座席部分に乗車時、乗務員に料金を支払うことによって乗車する権利を手に入れるのだ。これはJR東海やJR東日本で運行されている「ホームライナー」「グリーン車自由席」とは大きな違いである(そう言えば、かつて阪和線でも事前購入制の「ホームライナー」を運行していたことがあった)。JR東日本の「グリーン車自由席」と違い、Suica・ICOCA等でタッチして購入を済ませる、ということもできないので注意。

買った乗車券は乗車中に指定のポケットに入れる。そして、下車時には持ち帰らなければならない。おそらく座席を終点到達まで何度でも使い回すというところから、そうなっているのだろう。

このように、基本的にシステムはアナログチックになっている。もう少し工夫できそうな気もするが、「Aシート」自体実験的といえなくもないところもあるから、こうなるのは致し方ないと言える。

 

乗車状況

姫路駅から西明石駅の間は、割と空席が目立っていた。というか、スカスカだった。乗った日が平日ということもあったのか、あるいは当該列車の姫路駅での発車時間が18時過ぎと帰宅するには少々早かったからなのか。要因は様々だったろうが、ともかくアッサリと乗れてしまった。

ただ、西明石駅を過ぎると、それなりに席は埋まってきた。乗車整理券を発券する乗務員さん(二人もいた)の動きもかなり慌ただしくなってくる。途中途中で降りる客もいるものの、たいていは大阪以遠を目指す人だったと思う。

そして、三ノ宮駅に達すると、かなりの乗客が入り込んできた。有料座席部分に入り込む人もいたし、立席部分で立ち止まる人も結構いた。

その後、私は大阪駅で降りたのだけれども、ホームにはAシート目当ての乗客が列を作って並んでいた。それぞれの乗車口に20人以上はいるだろうか、結構な数である。やはり、帰宅の際には、お金を払ってでも良いから座りたい――そう思っている人が結構いるのだろうな、と感じた瞬間だった。

 

車内環境

全ての座席について転換式のクロスシートを採用。各座席のアームにはコンセントの差込口および簡易テーブルが備わっており、昨今の特急列車と同様の乗り心地を味わえる。これだけでも、席料500円を払う価値はあると思う(特にスマートフォン等を常用している方には)。

特に素晴らしいと思ったのがコンセントの差込口だ。東海道新幹線・山陽新幹線のN700系(普通車)とは違い、窓際でなくともコンセントを利用できるようになっているのがミソである。よくもまあ、「JR西日本電車223系」の車両をここまで改造できたものだ。

 

実際に乗車した感想

尼崎駅から大阪駅、大阪駅から新大阪駅といった短距離なら、さほど価値は感じないと思う(よほど疲れているのなら別だが)。しかし、姫路駅から大阪駅といった長距離での乗車、あるいは三ノ宮駅から大阪駅、大阪駅から京都駅といった、混雑の激しい区間を乗車するのであれば、「Aシート」を利用する価値は十分にある。

特急料金やグリーン車自由席とは違い、どこまで乗っても席料は500円のままだ。早い話、始発の姫路駅から終点の野洲駅まで乗り通しても同額で乗れてしまう。兵庫県や大阪府から滋賀県まで、座席の事前予約や携帯の充電の心配をする必要がなく快適に行ける、ということだ。

一方で、座席は先着順のため、利用客があまりに多かったら利用できないというのがネックではある。三ノ宮駅や大阪駅など、降車する客が多い駅での乗車を狙うのが良いかもしれない。

 

総括

「Aシート」の需要はそれなりにあることが今回の乗車ではっきりとした。おそらく、大阪から姫路方面に走る通勤特急「らくラクはりま」についても同じことが言えるだろう(こちらは未乗車だが)。今後も同じような方策が関西のいたる所で見られるかもしれない。

実際、座席に確実に座りたいというときに、こういう有料座席が利用できるというのは非常に助かるというもの。それも、特急料金と比べて安価で利用できる、というものだ。帰宅するときやレジャーでの利用など、様々な場面で活躍する場が出てくることだろう。

ただ、システム部分が少々未熟かな、とは思う。私が乗車したときには乗務員二人が対応していたが、それでは料金の収受や発券業務等が追いつかない事態も出てくることだろう。さすがにJR東日本のグリーン車自由席並みにするのは難しいだろうけれども、そのくらいの便利さにまで達してほしいと願うのは、私ばかりではないはずだ。

また、現状は米原駅までは行かず、二本の上り列車とも野洲駅止まりであることも難点か。特に青春18きっぷのシーズン中、米原駅から大垣・名古屋方面へ乗り換えようとするときに「Aシート」で乗り通せないのは、「18きっぱー」にとっては大きな壁になるかもしれない。

ともあれ、「Aシート」の改廃も含めて、今後のJR西日本の展開に注目したいところである。

 

追記1:らくラクはりま乗車(2019/08/17)

その後、「らくラクはりま」にも乗車したのだが、実際の乗車状況は……。

 

追記2:Aシートに再度乗車(2019/08/25)

今月(8月)某日にAシートに再度乗車する機会があった。区間は同じ「姫路から大阪まで」だが、今度は土曜日の朝方の列車だった。

それなりに認知されてきているのか、はたまた「18きっぱー」たちが多数いたかは分からないが、Aシートを狙いに来たと思われる乗客が多数いて、明石駅発車の時点でほぼ満席の状態だった。中には有料であることを知らずに乗った人もいたけれども、そんなのはごく少数であった(なお、その客はしぶしぶ席料を支払って乗車を続けていた)。

やはり「Aシート」は増発するのが良いのではないのかな、と改めて思ったりもした。今後の動向にいっそう注目したいところだ。