『ポケットモンスター ソード・シールド』における騒動・問題点のまとめ(2019年10月7日現在)

2019年7月8日ゲーム

『ポケットモンスター ソード&シールド』パッケージ画像(公式サイトから)
目次

はじめに(7月8日時点)

この記事は、『ポケットモンスター ソード・シールド』の、「ポケモンリストラ騒動」を始めとした様々な騒ぎ、炎上等に関する記録のまとめです。

以前の記事でも表明したとおり、私自身も20年以上ポケモンと付き合い続けており、ポケモンには並々ならぬ愛着を抱いております。その中で発生した今般の騒動について「もしかするとポケモンそのものが終わってしまうかもしれない」という多大な危機感が募っていきました。

それから、ポケモンとは一体どういったものか、これからどう向かい合ってゆくべきかについて、ポケモンファンの皆様に考え直していただきたく、この記事を公開することといたしました。

この記事をご覧になればお分かりの通り、私は今のゲームフリーク(通称「ゲーフリ」)の制作姿勢、および株式会社ポケモン(通称「株ポケ」)の販売姿勢には大反対です。そのため、批判的な側面を多く取り上げております。ファンの方々の中には、読んでいて辛くなる部分もあるでしょうが、今後のためにも是非、最後まで目を通してくだされば幸いです。

 

現状の要点を3点で

  • 既存ポケモンの一部(もしくは多数)が「SWSH」では出られなくなる予定(「リストラ」とも)、これが判明したことにより騒動が勃発。今なお収まる気配はない
  • 稚拙な描写が目立つグラフィックやモーション、「メガシンカ」や「Z技」廃止の代わりに「ダイマックス」「キョダイマックス」の追加、「タチフサグマ」関連の後付要素による過去作の否定など、迷走気味なゲームシステム
  • リストラを一向に日本のファン向けに公式発表しない、本作プロデューサーである増田順一氏、同ディレクターである大森滋氏などの発言の不可解さなど、問題視されることの多い公式側の対応

 

さらに短く

 

ゲームとしての問題点

海外ファンが作成した、ゲームそのものの問題点の概略(7月15日現在)

「ソード・シールド」の問題点の概略図(以下ページ、「Version 2.0」から)
  • 「クオリティ向上のためにリストラを実行した」(A) →「クオリティが大して上がっていない」という事実に反する(C:しかも「メガシンカ」や「Z技」を始めとした、過去に評価のあった機能があらかた抹消されている)
  • 「モデルが3DS版ポケモンから多数流用されているのは、ポケモンの数が増えすぎているから」(B) →「ポケモンをリストラしている」という事実に反する
  • (A)と(B)でそもそも矛盾を起こしている以上、両立は不可能と考えられる
  • それでは、実際のところ、何が問題なのか? → 発売が早すぎ、時間が足りなさすぎ、人員や工数が少なすぎ(しかも、AAAタイトル開発に向けて、「ポケモン」開発の人員を間引いている状態)

 

ポケモンの「リストラ」

要するに、「SWSH」の舞台である「ガラル地方」に連れて行けないポケモンが出てくる、ということである。しかも、どのポケモンが連れて行けて、どのポケモンが連れて行けないのか、全容が未だに判明していない。

最悪の場合、「Pokemon Home」による検証、あるいは有志による解析作業でもないと1)念のため、解析そのものは黒に近いグレーの行いであり、とても褒められるものではない。、全てははっきりしない。 そのため、自分の好きなポケモンが出るかどうか分からず、未だにやきもきしているファンも数多い。

また、「リストラ」を敢行した理由が「クオリティ向上のため」(増田氏)だったことにもかかわらず、グラフィックを中心に歪な設定、作り込みが徐々に明らかとなってきていることからも、「リストラ」そのものに意味があったとは言い難い。

 

日本においては、「リストラ」の事実は公式側からは一切告知されず、「ツリーハウス」(後述)およびゲーム雑誌のインタビュー(後述)で触れられたのみとなっている。このことは大きな反感を買う材料の一つとなっている。

なお、日本では、事実発覚直後は「互換切り」とも言われていたが、ゲームフリークが行ったことは「既存ポケモンのプレイアブルキャラからの除外」であるため、現在は「リストラ」という呼称を用いるのが一般的。

また、「内定が出ているポケモン」は、海外の有名ポケモン情報サイト「Serebii.net」がまとめてくれている。

 

当方による2019年6月末時点での見解は以下の記事にて。

 

グラフィック・モーションの問題点

既に問題が多く指摘されている部分であり、「叩けばホコリが出てくる」レベルのひどさであるため、ここでは象徴的な例を挙げるにとどめる。

  • フィールド上の「キャモメ」の動きがドローンみたいで奇妙。
  • 同じくフィールド上で、前触れなく突如湧き出てくる「ゴーリキー」
  • 新ポケモン「ヒバニー」が「にどげり」という技を繰り出しているにもかかわらず、それらしきモーションがない。
  • 「リザードン」の炎を発射する位置がおでこの部分であるように見える。
  • 壁が浮き上がっているように見える。
  • 水面の反射の様子が食い違っている(ポケモンが反射されていない一方で、存在しないはずの木が描写されている、など)。
  • コピー&ペーストされているらしき雲。
  • 人間NPCの移動方向が水平、垂直方向しかなく、斜めには移動できていないように見える。
  • 20年以上前の据置ゲーム機「ニンテンドー64」と比較しても首を傾げたくなるほどの稚拙なグラフィック(念のため、SWSHは「WiiU」よりも高性能なゲーム機「ニンテンドースイッチ」のゲームである)

以上のような問題点から、実はゲームそのものが非常に拙い出来である可能性も浮かび上がってくる。詳しくは以下の記事にて。

 

「ダイマックス」「キョダイマックス」

ポケモンが巨大化する「ダイマックス」が公開された時点では、どのようなポケモンでも巨大化するということもあって、好意的な意見も多数見受けられた。

しかし、7月8日に新情報「キョダイマックス」が公開されてからというもの、匙を投げる方々が続出。姿変化については「メガシンカでやれ」ということだし、「キョダイマックスわざ」は「Z技とどう違うのかまるで分からない」ということで、いずれにせよ「メガシンカ」や「Z技」が見殺しにされた格好にも見えてくる。

そもそも、「キョダイマックス」できるポケモンを捕まえるためには「マックスレイドバトル」をこなさなければいけないわけだが、レイドバトルのシステム上、どうしても人が集まるところでないとやりにくいと思われる。そのため、「ポケモンGO」で散々問題視されている地域格差を新たに生み出すつもりなのか、という懸念も出てくる(どうか「やり損」であって欲しい)。

 

「ジグザグマ」「マッスグマ」のリージョンフォルムおよび「タチフサグマ」について

8月7日に公開された新情報の中でも、とりわけ批判の声が大きかったのが「ジグザグマ」「マッスグマ」の「ガラルのすがた」および「タチフサグマ」だった。

追加された設定が「ガラルのジグザグマが原種である」「ガラルのジグザグマ・マッスグマは環境適応によりタチフサグマに進化できる」というものである。裏を返せば、従来の「ジグザグマ」「マッスグマ」は原種ではなく、タチフサグマに進化することもできないということになる。

このような、過去作へのリスペクトのかけらもない「後付設定」により、初登場作である「ルビー・サファイア」をプレイしていたファンたちから、多くの怒りの声があがることとなった。特に、多くの「ひでんわざ」を習得するという性質、有用なアイテムを拾い集めてくれる特性「ものひろい」を備えていることから、「旅パ」の一員として連れ回していた方々の憤りと言ったら、半端ないものがある。

賛否両論にとどまっている「マタドガス」の「ガラルのすがた」が可愛く見えてくるくらい、この「タチフサグマ」に関する問題は深刻だ。

 

当方による「後付け設定」に対する見解は以下の記事の通り。

 

続々と登場する新機能、しかし……?

  • 「豊富な着せ替え機能搭載!」→でも人によっては自分の好きなポケモンと冒険できないんですよね?
  • 「君だけのポケモンキャンプを楽しもう!」→でも人によっては自分の好きなポケモンとキャンプできないんですよね?
  • 「多種多様なカレーライスが作れるぞ!」→でも人によっては(以下略

結局、上に述べたポケモンの「リストラ」が全てを台無しにしてしまっている格好。特に、「カレーライスを頑張るくらいなら素直にポケモン増やせや」との声は多い。

Twitterでの私のツイート。(関連資料として)

 

公式の対応・販売方法等の問題点

E3のインタビュー企画「ツリーハウス」での発表(「ポケモン剣盾騒動」の発端)

任天堂主催のゲームイベント「E3 2019」のインタビュー企画「ツリーハウス」 (日本時間6月12日頃) で、増田順一氏が「SWSHにおいて全てのポケモンが揃うことはない」という趣旨の発言をする。これが全ての始まりだった。

「ポケモンダイレクト」や「E3」での公式プレゼンなど、発表する機会はいくらか設けられていたにもかかわらず、こんな重要なことを「ツリーハウス」でボソリと触れるのみに留めたという増田氏の姿勢はもちろん、ポケモンのリストラそのものにも多くの批判・罵倒が寄せられることとなった。

特に海外ファンの怒りは凄まじく、Twitterでは連日のように「#BringBackNationalDex」(全国図鑑を返して)の大合唱が続けられるとともに、4chanやRedditのポケモンコミュニティも地獄絵図と化していた。

日本においても、5chやTwitterを中心に批判の声が多く書き込まれる。とりわけ5chにおいては、期待の声なども寄せられるはずの「本スレ」において、否定的な意見が数多く書き込まれている

 

公開後まもなく書き換えられたゲーム雑誌のインタビュー

E3終了と前後して公開された上記インタビューにおいても、リストラの話には触れられている。その中で「アップデートの可能性」や「SWSHで出なかったポケモンが今後出るかどうか」についても触れられている。

しかし、公開(6月13日6時45分)から3時間半ほど経過した10時10分頃、突如インタビューの内容が以下の通り差し替えられる。

すなわち、「今後のアップデート等については未定です」の一文が追加されているのだ。これが意味しているのは、おそらく、当初はゲームフリークとしてはアップデートする気がなかったということであろう。「リストラ」発表後、騒動が過熱する中で慌ててゲームフリーク側が加筆を要請(もしくはファミ通が独自で加筆)したものと思われる。

この加筆がさらに騒動に拍車をかけたのは、言うまでもない。

 

上記インタビューにおける虚偽の発言も明らかに

上述のインタビューで、大森滋氏は次のように述べている。

大森 今回のことは、増田とともに、かなり協議を重ねました。『ポケットモンスター サン・ムーン』の時点でも、(すべてのポケモンを連れてこられるようにすることは)実際はなかなか厳しい状況だったのですが、ハードがNintendo Switchになって、モデルを最初から作り直すことになり、何かしらの選択をしなければならないと。

引用元:『ポケットモンスター ソード・シールド』の“いま聞きたいこと”について増田順一氏、大森滋氏を直撃。「連れて来られるポケモンの話」にも言及!【E32019】(強調稲葉)

 

しかし、後になって、2020年のゲームフリーク新卒採用における社員インタビューから、大森氏の発言に反することを述べていた社員がいたことが発覚する。

Y.Y.
テクニカルアーティストとして、主に『ポケットモンスター』シリーズのモデル表現周りを担当しています。具体的には、Nintendo Switchに対応したシェーダーの開発や、モデルの仕様決定、過去に制作したモデルを効率よくリファインするための方針決定を行っています。

引用元:ゲームフリーク、技術開発への挑戦 | GAME FREAK 株式会社ゲームフリーク オフィシャルサイト(強調稲葉)

この「効率よくリファインする」という部分、とても「最初から作り直す」とは思えない発言であり、明らかに矛盾している。しかも、2020年新卒に向けてのインタビューなので、ちょうど「SWSH」の開発時期とも重なっており、ゲームフリークの当時の取り組みと見て間違いないだろう。

インタビューを受けているY.Y.氏がホラを吹いているとは考えにくく、また大森氏は過去にも大見得を切った発言を複数回行なっているというところから(当記事では取り上げない)、彼の方が嘘をついていると考えるのが妥当だろう(現に、モデルに関しては、ポケモン・人間を問わず使い回されていることが散々指摘されている)。

 

何のために出されたのか分からない声明、不可解な対応

上記イベントのあと、増田氏および大森氏のTwitterアカウントはおよそ2週間以上にもわたって更新がストップしていた。その後、6月28日付で上の声明が公開された。

しかし、声明に書かれてあることと言えば、おおよそ「ツリーハウス」の焼き直しだった。そのため、既に炎上が続いていて久しいところ、火に油を注ぐ結果となってしまった。

増田氏や大森氏は、このことを知ってか知らずか、自分たちに好意的な意見を寄せてくれる人にのみ返信するなどの反応を示し、 反対意見には まともなものであっても目をつぶる、といったように、露骨な依怙贔屓を見せている。

もちろん、このような一連の不可解な対応は、2週間以上もダンマリを続けたことも含めて、炎上への対策が何もできていないことを示している。

 

「ポケモンひみつクラブ」

コンテンツの分量が少なく、プレゼントも海外予約特典の使いまわし(おまけに着払い)、阿漕な企画で登録者増加を煽るなど、予約特典としての企画としてどうかと思われるレベル。

具体的には以下のような感じ。

  • 開始当初から見てもコンテンツの追加量が少なく、依然としてスカスカのまま
  • 開始当初のプレゼントが海外のダブルパック予約特典の流用品
  • しかも、肝心のプレゼントが着払いである(スチールブックの重量はそれなりにあるものと思われ、その分送料も高額になる)
  • 「マラソン部」なる、登録者増加によって「プレゼント」を手に入れよう、という阿漕な企画

 

この企画そのものに対する懸念事項(2019年7月時点)は以下の通り。

 

今さら3DS用ソフトに色違いのネクロズマを配布

ニンテンドースイッチ用ソフトであるはずの「SWSH」の予約者限定サービス「ポケモンひみつクラブ」の会員向けに、なぜか3DS用ソフトの「サン・ムーン」「ウルトラサン・ウルトラムーン」に色違いのネクロズマを配布するという、意図のわからないプロモーションが8月30日(発売日までおよそ二ヶ月半)になって持ち上がってきた。

これに対するツッコミとしては、「SWSH」に連れていけるという保証は現時点では一切ないというところであろう。リストラの情報を公表していない今だからこそ、こういうことができるのではないか。

もっと言えば、なぜ新作で利用できるポケモンにしないのだろうか。9年前の「ブラック・ホワイト」でさえ、幻のポケモン「ビクティニ」をゲットするために必要なアイテムを予約者の方々にプレゼントしていたことを考えれば、いかにこのプロモーションのピントがずれてきているかが伺える。

 

あからさまに「狙っている」新ポケモンの紹介

9月13日に新しいポケモンが公開されたのだが、そのページは全てにおいてバグだらけの表示となっていた。ある意味で初代(赤・緑)のオマージュであろう。

これだけなら、まだ良かったと思う。私もうっかり騙されてしまった。

しかし、以下の「細工」を見てゲンナリした人は少なくなかった。

お分かりだろうか。SNSのアイコンが他ページと比べて非常に大きいのである。 つまり、公式側としては、この謎めいた新ポケモンの情報を拡散してほしいと思っていると考える他はない、ということだ。そんなことをして、いったい何になるだろうか。

以前「ポケモンGO」で突如として現れた「メルタン」が、登場時だけ散々騒がれた後には全然話題にならなくなっている。このことから、今回も一過性の騒ぎにしかならないのではないか、と私は思う。少なくとも、いくら拡散してもらったところで、後々まで心に残るようなものやかなり重要な情報でもなければ、拡散そのものに意味がなくなってしまう。

意図的に騒ぎを起こすことが多い株ポケらしい(総括参照)と言えばそこまでだが、「そんなことよりリストラの事実を公表してくれ」と望んでいる方々には、未だに応えられていない。

 

なお、9月18日、新ポケモン(ネギガナイト)は無事に(?)公開された。こちらについては、設定ともども、この記事に載せるような話題ではない。

 

またしても新たな火種となるインタビューが掲載される

10月1日、海外の大手ゲームニュースサイト「Game Informer」にて、増田順一氏のインタビュー記事(英語)が掲載された。「リストラ」決定に至った背景などが語られているのだが……。

内容があまりにも酷いので、ここでは詳しく載せず、別途記事を作成した。以下からご覧いただきたい。

 

どうして炎上に至ったか

  • 上述の通り、ポケモン公式の対応が凄まじいまでにお粗末な有様で、もはや「わざとやっているのではないか」と思わせてくれるほど。
  • 「オメガルビー・アルファサファイア」(略称「ORAS」)以降、徐々に不快な要素の方が多くなっていき、大半のプレイヤーが不満を募らせていた。代表例を以下に記す。
    • 「ORAS」:ゲームシステムはこの上なく良かったが、エメラルドの追加要素「バトルフロンティア」が未実装に終わったこと、とあるキャラクターの某イベントクリア後における「廃人化」というキャラ崩壊、追加ストーリー「エピソードデルタ」の荒唐無稽な展開、すてられぶねの代替ダンジョン「シーキンセツ」における既存設定の改悪などについては批判の声が向けられていた。
    • 「サン・ムーン」(通称「SM」):「XY」や「ORAS」で好評だった「PSS」を始めとした各種要素を廃止、その代わりに導入された「ロトムずかん」が邪魔者扱いされるなど、悪評が相次ぐ。ストーリーについてもポケモンを踏み台にした人間ドラマ(しかもヒロインが終始悪目立ちしている)と言われる始末。ポケモン図鑑についても、ポケモンのイメージを著しく害するテキストが多数あるなど、批判の声が徐々に多くなってゆく。
    • USUM:単なるマイナーチェンジ版であるにもかかわらず、「君の知ってるアローラではない」などと詐欺同然のコピーを打つ。結局「9割知ってるアローラだった」などとネタにされることに。また、追加されたミニゲーム「ウルトラワープライド」の操作性が非常に劣悪であったこと、投げっぱなしの伏線があちらこちらで見受けられたことも有名。某ポケモンバトル世界覇者からの「DLCレベル」などという苦言を呈したツイートが各所で取り上げられたこと、Amazonレビューでも低評価の声が相次いでいたことは記憶に新しい。
    • LPLE:増田氏自身は本編と明言していたが、登場ポケモンが旧作に比べて非常に少なかったこと、戦闘よりも捕獲を主体とした飽きの来るゲームデザインであったことなどから、ゲームそのものがあまり話題にならず、外伝的な扱いとされてしまう。
  • 以上のことから溜まりに溜まった不満が、「リストラ」発覚をきっかけに大爆発を起こす。批判や罵倒の矛先は、これまでに制作指揮を執ってきた増田氏と大森氏の両名に集中する。特に増田氏は、Twitterで「増田辞めろ」などと海外ファンから連呼される始末。
  • なお、海外ファンがこれほどにまで怒りの声をあげているのは、国によってはE3前より既にSWSHの予約が始まっていたからであるらしく、実際に予約開始日についてはTwitter等で報告が複数あがっている(Twitterで海外ファンが公式アカウント等にキャンセル画像を送りつけていたのもそのためだと思われる)。

 

Q&A

Q1. 「ルビー・サファイア」でもリストラはありましたよね? どうして今更声をあげるんですか?

この記事をご覧になっている方は既にご承知のことと思いますが、確かに「ルビー・サファイア」でも使えないポケモンは少なからず存在していました。そのことが影響したかどうかは分かりませんが、前作「金・銀」よりも売上が低下していることも事実です(日本国内に限っても「金・銀」が700万本超えなのに対し、「ルビー・サファイア」は500万本超えにとどまっています)。

ですが、「ルビー・サファイア」前後の流れを考えてみてください。前作「金・銀」、そしてマイナーチェンジ版である「クリスタル」の出来が非常に良いもので、なおかつ「ルビー・サファイア」後の「ファイアレッド・リーフグリーン」「エメラルド」によってシリーズの面目を保つことに成功しています。「ルビー・サファイア」自体もシステム面での正当進化が見られ、新たなファンが生まれることにもつながりました。

このことからも分かるように、「ルビー・サファイア」発売当初は、ポケモンというブランドに多大な信頼が寄せられていました。確かに不満の残る部分もありましたが、些細なことだったと言って差し支えないでしょう。

それでは、現在はどうでしょう。「ポケモンGO」が発端となって生じたリバイバルブーム、「ポケモンカードゲーム」の再流行など、喜ばしいニュースもありました。しかし、上で述べたこともあいまって、世界に名だたるゲームとしては、少しずつ信頼に陰りが見えてきた段階でありました。そういう流れの中で発生したのが「ポケモンリストラ騒動」というわけなのですね。

こういった「前後の流れ」を全く無視して、「ポケモンのリストラは過去にもあったじゃないか」などと擁護するのは、全くの的外れと言って良いでしょう。

 

Q2. ポケモンのデータやモデルを作るのにはどうしても労力や時間がかかるものだし、今回のリストラ決定については致し方ないのでは?

これはDS用ソフトの「ダイヤモンド・パール」や「ブラック・ホワイト」、あるいは3DS用の「XY」においてなら正当な意見になり得たでしょう。しかし、今起こっているのが、実質据え置き機として扱われるほどの高スペックを持つ「ニンテンドースイッチ」用のソフトにおける問題なのですから、これも全くもって当たっていない意見と言わざるを得ません。

「ポケモンリストラ騒動」の肝の一つは、「スペックではるかに劣るはずの携帯機(GBA・DS・3DS)で実現できていたことが、どうしてスイッチで実現できないのか」ということです。しかも、繰り返しになりますが、モデルそのものも過去作からの使い回しが指摘されていますし、フィールド上では不自然な動きすら見受けられるという有様です。

このような不安要素を露呈させてしまうほどの酷さなのですから、ここは発売延期をしてでもしっかり作り込んでほしい、というのが私の本音です。もっとも、昨今の「ポケモン」本編の発売ペースから、こういう願望が叶いそうにないというのも、騒動が続いている一因なのですが。

 

Q3. ゲームフリークも社員を抱えているわけだから、定期的に新作を発売しないといけないのでは?

1作(2バージョン)につき、全世界で2,000万本ないし3,000万本を売り上げるほどの世界的ゲームであるポケモンだからこそ、ゲームフリークはブランドの持続、さらなる地位向上に注力すべきですし、「サン・ムーン」以降続いている「1年につきポケモンの新作1つ」というのも止めていただきたいと思っています。

そもそも、あれだけの売上がありながら、どうして1年につき1作出さなければいけないのかが分かりません。経営という視点で考えるならば、ポケモンシリーズで得られる莫大な収入を元手に、新たなゲームの開発に取り組むのが筋ではないでしょうか。

しかし、ゲームフリークの開発実績のうち、「赤・緑」以降に限って言えば、実際に市場に出されたものは両手で数えられる程度です(もちろん、ポケモンシリーズを除きます)。売上もポケモンシリーズに比べれば微々たるもの、ビッグタイトルになるまでに至ってはいません。すなわち、ポケモンがなければ倒産の憂き目に遭っていたことも十分考えられるのですね。

上述の事実から、おそらく、ゲームフリークはゲーム会社としてはうまくいっていないのでしょう。他ゲームで出てしまった赤字を補填すべくポケモンの新作を乱発してしまうという流れも、あり得ない話ではありません。

通常ならば、他ゲームの開発で培ってきたであろうノウハウがポケモンシリーズに還元されている、などといった相乗効果を生み出しているはずです。しかしながら、ノウハウの蓄積や技術継承等が社内でまともに行われていないことは明白でしょう。SM・USUMにおける批判、不満の声を見てもその片鱗を感じられますし、ニンテンドースイッチのソフト2作、LPLEとSWSHについて、最新型据置機用のゲームとしてはあまりにお粗末なグラフィック等を見ても、そのように感じられるかと思います。

 

Q4. そのうちアップデートが配信されて、ポケモン全種類が揃うことになるんじゃないの?

「SWSHにおいて全種類揃うことはない」という趣旨のことを、増田氏自身が海外公式に出した声明で述べています。

ファンのみなさん、いつもポケモンを大切に思ってくれて、本当にありがとうございます。先日、「ポケットモンスター ソード・シールド」に一部のポケモンを連れて行けないことを発表しました。みなさんの様々なメッセージや意見を読み、みなさんのポケモンに対する愛を、改めて深く感じました。

(引用元:A Message for Pokémon Video Game Fans | Pokemon.com、強調稲葉)

強調部分からもお分かりの通り、今回の決定を覆す気は、少なくとも増田氏にはないようです。そして、おそらく、大森氏を始めとしたゲームフリークのスタッフ一同の意向と考えて良いでしょう。

  

Q5. 難癖つけるなんてみっともねえな、ポケモンファンなんだったらおとなしく待っておけば良いのに

実際にクソでありそうなものをクソと言って何が悪いのでしょうか。むしろ、様々な意見に耳を傾け、実際のゲーム制作に活かしていただきたいと思っている方も少なくありません。

そもそも今回の騒動の一因は「過去作への批判が今作(SWSH)でも活かされることはなかった」というところにあります。上にも書いたとおり「リストラ」は単に爆破装置でしかありません。

それに、このままの流れで行けば、ポケモンシリーズを買い支えている方々が今作で軒並み見切りを付けてしまい、最悪今作または次作でシリーズが完全に終了してしまう恐れもあります。そうなる前に決定を覆していただきたいというのが私の願いです(昨今の騒動の顛末を見るに、どうせ実現されないだろう、とも思いますが)。

他ゲームの話になりますが、『グランディア3』は、監督を始めとした上層部が部下からの意見を聞かなかったばかりに「(笑)ゲー」と称されるほどの駄作となり、その結果悪評が広まって「グランディア」シリーズの流れを完全に止めてしまいました。また、『テイルズ オブ ゼスティリア』も、他人の意見に耳を貸そうとしないプロデューサーの暴走が目立ち、ストーリーに褒められるところがほぼ無いなどの要因で、「テイルズ オブ」シリーズに壊滅的な打撃を与えています(シリーズそのものは続いていますが)。

ポケモンシリーズも同じ轍を踏んで良いというのなら、もはや私には何も言えません。

(なお、私自身、ゲーム以外でも、ポケモングッズをちょくちょく買ったり、鳥取県のサンドや香川県のヤドンを応援したりするなど、かなりのポケモン好きを自負しております。シリーズが終わればこういうこともそのうちできなくなることが予想されますので、尚更悪い流れを止める他はないと思っています)

 

Q6. 仮に好きなポケモンが出ていなくても、ゲームとして面白ければそれで良いんじゃない?

確かにその通りですね。普通のゲームならば。

実のところ、現在のポケモンシリーズの購入者層の多くは(全てとは言いませんが)、「自分の好きなポケモンが出ているから買う」という方です。グラフィックやサウンドの進化が著しい現在、冒険者気分や緻密な戦略を味わいたいだけなら他のゲームで事が済んでしまう時代になりました。その分、ポケモンはキャラゲーとしての側面が随分強くなっていたのですが、ゲームフリークはそこを見誤ってしまったのですね。

およそ7年前のゲームである『ポケモン不思議のダンジョン マグナゲートと∞迷宮』は、ストーリーを中心に好評の得られる要素こそありましたが、当時最新世代であったイッシュ地方のポケモンすら一部は出ないという有様だったために、50万本にも満たない売上に終わりました。これは、シンオウ地方までの全てのポケモンが登場した『ポケモン不思議のダンジョン 時・闇・空の探検隊』が累計で約200万本であったことを考えると驚異的な低さです(単体での売上に限ってみても、いわゆる「完全版」である『空の探検隊』よりもわずかに上である程度です)。

なので、今回判明したポケモンの「リストラ」は確実に売上に響くでしょうし、このままの路線を強行しようとするならば、今後さらに売上が落ち込む可能性があります(上に紹介した「ルビー・サファイア」の例ですらそうだったのですから)。少なくとも、新しいポケモンが次々と登場している「Pokemon Go」の方に客が流れることになるのは十分予測できます。こうなると、ゲームフリークの「パイオニア」としての立ち位置は大きく揺らぐことになるでしょう。

最近、全国のポケモンセンターやポケモンストアで、ジョウト地方までのポケモンが全てぬいぐるみ化されたことは大きな話題となり、あちらこちらで購入報告が相次いでいたことは記憶に新しいところですね。これもまた、ポケモンというコンテンツそのものがキャラクター人気に支えられていることを示す証拠なのではないでしょうか。

 

Q7. 少しは制作チームの苦労や負担のことも考えたら?

なぜこのような声が時折上がるのか分かりませんが、念のため答えておきます。

例えば、趣味でやっているであろう同人活動ならば、そういう批判は十分に通用します。どんなに本腰を入れていようが、所詮は趣味ですから、本業に差し障りが出るほどの苦労をすることはできません。同人作家の私情を勘案するというくらいの配慮は各方必要でしょう。

ですが、ゲームフリークや株式会社ポケモンは、同人活動をやっているわけではありません。SWSHを始めとするポケモンシリーズはれっきとした商品です。すなわち、お客さんにお金を出して買ってもらわなければなりません。そこで、お客さんがお金を出そうと思わなければ、言い方を変えれば、お金を出すに値する価値を見出だせなければ、取引は成立しなくなります。そこで制作陣の事情なんて考えてたら、それこそ制作陣を甘やかすことになりませんか。

さて、従来のポケモンシリーズの価値はどこにあったでしょうか。上にも書いた通り、「好きなポケモンが出てくる」ということもあるでしょう。ですが、それ以上に大事な概念があります。海外公式のキャッチコピー「Gotta Catch 'em All!」です。海外ファンの皆様方は、このキャッチコピーに反する「ポケモンのリストラ」を耳にした瞬間から、「明らかな詐欺行為じゃないか」などと怒りの声をあげているのですね。

海外でこのようなコピーを出している以上、ゲームフリークはコピーに値する商品を制作する義務がありますし、株式会社ポケモンはコピーに見合うだけの商品を提供する義務があります。そして、今までは、肝心のゲームの内容がどうあれ、提供し続けていました。ですから、「全てのポケモンと知り合い、仲間になれる」という今までの大きな特徴に魅力を感じていた方は国内外を問わず多数いらっしゃいましたし、そういう方々は、今回も前例を踏襲してくるだろう、と思っていたのです。

今回の騒動の発端である「リストラ」については、もはやポケモン公式側の怠慢と言う他にはなく、制作陣を擁護することはとてもできません。たとえゲームフリークの技術不足であるとしても、キャッチコピーに反する商品を提供して良い理由にはなりません。下手をすると、商品失格レベルとなるでしょう。海外ファンを中心に、未だに怒りの声が収まらないのは、こういった事情もあるのです。

 

騒動の総括(7月13日時点)

以上をご覧になればお分かりの通り、今回の発端である「リストラ」発表こそタイミングの問題でしかありませんでしたが、その後の騒動に関してはポケモン公式側の相次ぐ不手際が原因です。初期対応さえしっかりしておけば、騒動が現在に至るまで尾を引くこともありませんでしたし、グラフィックやモーションの問題すら今ほどに槍玉に挙げられなかったことでしょう。そういう意味では、ネットでの炎上事案に対する拙い対応例として、真っ先に事例集に載せなければいけないレベルだと思います。

このままの流れで事が進むと、「ポケモン」シリーズはおろか、テレビゲーム史においても最低最悪の炎上事案の一つとして刻まれることになるのは明白です。騒動はもはや公式側には収まりが付きそうにもないレベルになっていると思われますが、そうは言っても、どこかで悪い流れを止めなければ、シリーズに泥が塗られ続けることになります。ブランド失墜の象徴として、この騒動が語られることにもなるでしょう。

ただ、長い間「ポケモン」に付き合ってきた私から見れば、今回の一連の騒動は、長い間にわたって「ポケモン」公式の暴走を大目に見てきた私たちファンたちにも大きな責任があるのではないかな、と思います(もちろん批判の声がなかったわけではありませんし、そういった声に耳を傾けなかった公式側が悪いのも間違いありません)。特に、後々「かそくガチャモ」と揶揄されることになる「某ポケモン攻略本の付録」に関する騒ぎ、ヌマクローの「コラ画像」公式配布事案ポケモン総選挙で最下位になったバオッキーの晒し上げ行為、ポッ拳の「ラのつくポケモン参戦」騒動に関しては不快感を持つ方も少なくありませんでした。しかし、それ以上に多くの方々が騒ぎのネタにしてしまったので、ポケモン公式も自然とそちらの方へと流れてしまったものと思われます。すなわち、過去に積み重なってきたツケを今になって支払わされている、という形になりますね。

今般の騒ぎが今後どういう展開になるかは全く未知数ではありますが、少なくとも数年は尾を引くことになるでしょう。「ポケモン」シリーズがどうなってゆくかも含めて、一ファンとして騒動の行方を見守っていきたいところです。

 

その後……(7月13日深夜)

 

さらにその後……(8月16日)

脚注   [ + ]

1. 念のため、解析そのものは黒に近いグレーの行いであり、とても褒められるものではない。