Last Update: 2018/09/14 13:45

『嘘つきなネイティオ』

  • 作者:黒戸屋さん
  • 現在非公開

 

作品紹介

 ポケモンたちが住んでいた村には、常日頃から嘘をついていたネイティオがいました。幼なじみのおまわりさんであるグランブルは、ネイティオに手紙を書くなどして、嘘をつくのをやめさせようとしていたのですが、ネイティオは嘘をつくのをやめようとはしませんでした。

 ある日、ヘルガーの群れが襲ってきたのですが、ネイティオは依然として平然としたままいつものように言葉を発していました。誰一人信用しようとしていませんでしたが、グランブルはただ一匹、彼の言うことを信じることにしたのです。その結果、グランブルは衝撃的な事実を知ることになるのですが……。

 

ポケモン二次創作史上屈指の名作

 現在非公開になっているのが非常に惜しくなってしまうほど、ポケモン二次創作の中でも指折りの名作である。できれば、この作品を全文転載した上で、一から十まで解説したいところなのだが、この作品の権利に関して何の許諾も得ていない以上、そうすることはできない。

 

 この作品は黒戸屋さんお得意の童話チックなスタイルで描かれている。終始ほんわかとした柔らかい文体であるのだが、その実は本当に感動的であり、読む人の心を掴んで離さない。

 中でも、特筆すべきなのはネイティオが嘘をつき続けた理由である。ネタバレになってしまうので詳細を述べることはできないが、ネイティオがこの目で見てしまったものから逃れるための、ネイティオなりの策だったのだ。ネイティオは最後まで、グランブルの知っていたネイティオに他ならなかったのだ。

 ネイティオだって本当は「真実」を伝えたかったのは想像に難くない。ただ、最後の最後になってネイティオは本当のことを言うのだが、恐らくそれは自身が根っからの大根役者で演技に徹しきれず、ボロを出してしまったからではないかと推察できる。

 彼は最後に予め用意しておいた手紙でグランブルに今まで隠していたことを告げる。その折にグランブルがどれほど悔しがっていたかは、あえて解説を入れるまでもないだろう。ただ、村の安全を手に入れるために失ってしまったものは、あまりにも大きすぎるものであった。もし事前にグランブルに相談を入れることがあったら、未来は異なっていたのかもしれないが、ネイティオの「親切心」が、それを許さなかったのだろう。

 つくづく、ネイティオとグランブルが不憫で仕方なくなってしまう一作である。このやるせなさは、他のどの作品に目を通しても、決して得ることはできないだろう。

 

 構成は無駄が一切なく、短編小説のお手本とも呼ぶべき素晴らしい作品なので、本当なら色々な方々に読ませたい一作である。しかし、冒頭にも書いたことだが、現在非公開となっているのが非常に惜しいのである。

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プロフィール

haunted-haunter.jpg稲葉 幽助(岡山市在住)
好奇心旺盛で、色々な物事に手を出しやすく、行動力が高い。
上達しきる前に物事から離れてしまいがちなのが悩み。
ASD(自閉症スペクトラム)診断済。精神障害者保健福祉手帳取得済。(詳細なプロフィール

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