Last Update: 2018/09/10 21:27
1999年 アメリカ デヴィッド・フィンチャー

『ファイト・クラブ』

作品紹介

ブラッド・ピット×デイビッド・フィンチャー監督が放つ、常識を、価値観を破壊するエンターテイメントの傑作!(Amazonプライムビデオより)

 

既存の価値観の根底から背を向けたがっていた男の物語

 しがない会社員だった「ジャック」が、ひょんなことから「タイラー・ダーデン」と名乗る男と出会い、「ジャック」の自宅が何者かの手によって爆破されたのをきっかけに、「ダーデン」とともに、とある洋館の地下室で「ファイト・クラブ」を立ち上げることになるのだが……というのが、基本的な話の流れ。

 この『ファイト・クラブ』という作品は奥が深く、今でも数多くの解釈・解説が存在している。うだつの上がらないサラリーマンに過ぎなかった「ジャック」が、自身と正反対の性格をしている「ダーデン」のなすがままにされ、どのようにして「ファイト・クラブ」に身を投じるに至ったか、そこを見るだけでも、色々な言説を見ることができて、とても面白いものだと思う。

 

 ただ、一つだけ指摘しておくべきことがあるとすれば、それは、この映画はあくまでも「ジャック」個人の成長物語に他ならない、ということである。ブラッド・ピット演じるもう一人の主役「タイラー・ダーデン」でさえも、この物語においては単なる「添え物」に過ぎない。というのも、「ダーデン」はある意味で「ジャック」の先導役だったからだ。

「ファイト・クラブ」という組織でさえも、本来ならば、「ジャック」が自分一人で立ち上げるべきものだった。だが、「ダーデン」がいなければ、そういう機運すら起こらなかった。彼は自分のあらゆる居場所を外に求めていたわけで、「他人がどうにかしてくれなければ何もできない」というタイプの人間だった。こういう人物自体はよくあるパターンだけれども、「ジャック」の内心では、そういう「人物像」からは逃げ出したかったのであり、「ダーデン」はそんな彼の理想的な人物に他ならなかった。

 とはいえ、いつまでも「ダーデン」に導かれてばかりでは、「ジャック」自身の成長はあり得ない。だからこそ、最後になって全ての真相を知った「ジャック」は、理想的な存在であった「ダーデン」に打ち克つことを望み、見事にそれを達成してみせたのである。そして、彼はヒロイン「マーラ」とともに、「今までの象徴」が爆破されてゆく様を見守るのだった――。

 

 見かけこそかなり暴力的な映画であることには間違いないし、やっていることはかなり過激なことである。しかし、その内面こそは実に人間的かつドラマチックであることも確かだ。特に、既存の価値観に疑問を抱いている方々には、ぜひとも観ていただきたい。この映画を観る前と後では、もしかすると、自分の内面から根本的に変わっているかもしれないだろうから。

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プロフィール

haunted-haunter.jpg稲葉 幽助(岡山市在住)
好奇心旺盛で、色々な物事に手を出しやすく、行動力が高い。
上達しきる前に物事から離れてしまいがちなのが悩み。
ASD(自閉症スペクトラム)診断済。精神障害者保健福祉手帳取得済。(詳細なプロフィール

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